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医療用シリコーンゴムとは?医療用シリコーンゴムの特徴と用途

医療用シリコーンゴムとは?医療用シリコーンゴムの特徴と用途

お役立ちコラム

医療用シリコーンゴムとは?医療用シリコーンゴムの特徴と用途

シリコーンゴム(英:silicone rubber)は、耐熱性や耐候性、耐薬品性など、さまざまな特性を持った高機能ゴムです。その機能性の高さから、自動車やエレクトロニクスなどの工業製品をはじめ、医薬品・食品製造など、幅広い分野で活用されています。
特に近年では、高齢化社会に向けたヘルスケア産業の拡大や医療機器の高度化で、医療用シリコーンゴムのニーズが高まっています。

この記事ではシリコーンゴムの特徴と、医療用に使われるシリコーンゴムの用途、成形方法について解説します。

そもそもシリコーンゴムってなに?

そもそもシリコーンゴムってなに?

シリコーンは、原材料のシリコン(ケイ素 Si)を精製してつくられる化合物です。
ケイ素と酸素が交互に結びついた特殊な分子構造(-Si-O-Si-)で、「有機物」と「無機物」の性質を兼ね備えており、高い機能性を発揮します。そのシリコーンからつくられたゴム状の材料が「シリコーンゴム」です。

シリコーンはゴム以外にも、樹脂状やオイル状など、精製方法によってさまざまな形状をとることができます。

シリコーンゴムの主な特性

化学的に安定したシリコーンは、さまざまな特性を持ち合わせます。

耐熱性 高温環境でも特性に変化がない
耐寒性 低温環境でも弾力を保つことができる
耐候性 紫外線や経年変化、オゾンによる劣化に強い
耐薬品性 酸や塩基に対して、高い耐性がある
非腐食性 金属に対する悪影響がない
耐水性 撥水性があり、防水効果がある
離型性 表面張力が低いため、貼り付きにくい
絶縁性 高い絶縁性で、電気を通しにくい

シリコーンゴムの種類

写真は液状シリコーンゴム
(写真は液状シリコーンゴム)

シリコーンゴムは原材料の状態によって、「固形シリコーンゴム」と「液状シリコーンゴム」の大きく2つに分けられます。

固形シリコーンゴム(ミラブルシリコーンゴム)

固形シリコーンゴム(ミラブルシリコーンゴム)は、粘土のような固形状態の原材料です。
固形なので扱いやすく、一般的なゴム製品と同じようにロールで混練りし、専用のプレス機で加圧(コンプレッション成形)しながら熱硬化させ成形します。

液状シリコーンゴム

液状シリコーンゴムは、粘度の低いペースト状の原材料です。
液体なので成形の自由が高く、金型による射出成形(LIM成形)で、複雑かつ精密な部品を成形することができます。

高い品質が求められる医療用シリコーンゴムの成形には、液状シリコーンを使ったLIM成形が最適
高い品質が求められる医療用シリコーンゴムの成形には、液状シリコーンを使ったLIM成形が最適です
藤倉コンポジットでは、完全密閉の自社クリーンルームで、高品質でクリーンな医療用シリコーンゴム製品を製造しています
◎LIM成形について、詳しくはこちら

医療の現場で使われる医療用シリコーンゴムとは

医療の現場で使われる医療用シリコーンゴムとは

医療機器の部品や医療器具には、皮膚や粘膜、体液に触れても反応や変質が少ない高い生体適合性(人に対する安全性)と、耐薬品性が求められます。そこで使われるのが、「医療用シリコーンゴム」です。

優れた特性を持つ医療用シリコーンゴムは、ヘルスケアや医療技術の進歩によって、今後ますます活用が期待されています。

高温環境下での滅菌処理にも耐えられる!
シリコーンゴムは、高温環境下での滅菌処理に耐えることができ、現場の感染リスク低減にも貢献します
医療器具は、ウイルス感染防止のため、高温・高圧で滅菌する「高圧蒸気滅菌」が行われることがあります。シリコーンゴムは、高温環境下での滅菌処理に耐えることができ、現場の感染リスク低減にも貢献します。

医療用シリコーンゴムと一般グレードとの違い

医療用シリコーンゴムと、一般グレードのシリコーンゴムでは、その要素や成分に大きな違いはありません。
医療用として製造プロセスを管理した上で、医療規格(ISO 10993)や、USP(米国薬局方)の厳しい適合性試験をクリアしたものが医療用シリコーンゴムとして認められます。

〈医療用シリコーンゴムの例〉

試験項目 汎用
グレード
医療
グレード
中短期
インプラント
中期
インプラント
7日間の埋植
30日間の埋植
90日間の埋植
皮内反応(USP)
急性全身毒性(USP)
細胞毒性
皮膚感作性
皮膚刺激性
加熱時の重量減少(EP)
発熱試験(USP)
溶血試験
変異原性
クラスⅣ(USP)
注記)印部インプラントでのご使用は別途協議が必要となります
藤倉コンポジットでは、用途に合わせた医療用シリコーンゴムの選択が可能です
藤倉コンポジットでは、用途に合わせた医療用シリコーンゴムの選択が可能です

医療用シリコーンゴムの用途

医療の現場では、コンタクトレンズ、バルブ(逆止弁・混注菅)、医療用マスク、チューブ・カテーテルなど、さまざまなシリコーンゴム製品が使われています。これらの製品は感染防止や減菌作業のコスト削減の観点から、多くが使い捨てのディスポーザブル(ディスポ)製品となっています。

そのなかでも、藤倉コンポジットで実績のある医療用シリコーンゴムの用途についてご紹介します。

医療用逆止弁

医療用逆止弁

逆止弁は、チューブに接続して使われる小さなバルブで、正常とは逆の流れが発生した際に、弁が閉まり、逆流を防ぐ役割があります。人工透析器や酸素濃縮器などの医療機器には、輸液回路・呼吸回路の逆流を防ぐため、多数の「医療用逆止弁」や「ダイヤフラム」が使われており、クリーンで安全性の高い、医療用シリコーンゴムの需要が増えています。

ここがポイント!
藤倉コンポジットでは、シリコーンゴムの弾性とシール性を利用した、「精密小型逆止弁(アンブレラ・ダックビル)」を製造しています
藤倉コンポジットでは、シリコーンゴムの弾性とシール性を利用した、「精密小型逆止弁(アンブレラ・ダックビル)」を製造しています。高い応答性と信頼性を持ちながらも、大量生産によって低コストで製造が可能で、使い捨て用途に最適です。
医療用シール

医療用シール製品

高い安全性が求められる、人工呼吸器や点滴、薬剤投与、ダイアライザー(透析器)では、流体の漏れを防ぐため、「Oリング」や「パッキン」などのシール材が多く使われています。
医療用シリコーンゴムは、高温や低温などの厳しい環境でも機能性を維持できるため、医療の現場を問わず、安心して使うことができます。

シングルユース製品

バイオ医薬向けシングルユース製品

バイオ医薬や再生医療の製造プロセスでは、洗浄・滅菌工程が不要になる、一回きりの使用を想定した「シングルユース製品」が注目されています。シリコーンゴム製のシングルユース製品には、チューブやコネクタなどがあります。またシリコーンゴムは、その酸素透過性の高さから、細胞培養器の部材などにも使われています。 

ここがポイント!
藤倉コンポジットでは、ワクチン・バイオ医薬・再生医療の発展を目的とした、パートナーシップ「J-STAC(シングルユース技術国産化共同体)」を形成。現在100%輸入に頼っている、シリコーンゴムを使った「無菌接続コネクタ」や「送液用シリコーンチューブ」を国産化すべく、製品開発に注力しています。

医療用シリコーンゴムの製造〈LIM成形〉について

LIM(リム)成形(LSR成形とも呼ばれます)は、液状射出成形[Liquid Injection Molding]の略。液状シリコーンの2液性材料(主材と硬化剤)を混合したものを、射出成形機で成形する製造方法です。
液状シリコーンが金型内にスムーズに流れるため、従来のコンプレッション成形に比べ、複雑で精密な成形ができ、品質要求のきびしい医療用シリコーンゴムの製造に最適です。

LIM成形とコンプレッション成形との比較

〈LIM成形の流れ〉
LIM成形の流れ
加硫(かりゅう)とは:シリコーンゴムに熱を加え、化学反応を起こし熱硬化させる工程です
〈コンプレッション成形の流れ〉
コンプレッション成形の流れ
比較項目 LIM成形
(液状シリコーン)
コンプレッション成形
(固形シリコーン)
寸法精度 ×
大量生産(コスト) ×
金型(コスト)
異物混入リスク 低い 高い
工程数 少ない 多い
金型コストの掛かるLIM成形ですが、品質面と生産性から、十分な費用対効果が見込めます
※金型コストの掛かるLIM成形ですが、品質面と生産性から、十分な費用対効果が見込めます
またクリーンルーム内でLIM成形を行うことで、異物混入リスクをさらに低くすることが可能です

クリーンルーム内でのLIM成形の工程

異物混入のない、高品質でクリーンな医療用シリコーンゴム製品の製造には、クリーンルームでの生産が欠かせません。 

藤倉コンポジットでは、医療用の液状シリコーンゴムを使い、完全密閉の自社クリーンルーム(Class 100,000)環境下で、材料の供給からLIM成形、検査、梱包まで一貫した国内生産を行なっています。

 

クリーンルーム内でのLIM成形の工程
① 材料の供給 液状シリコーンの2液性材料(主材と硬化剤)を、専用ポンプで供給する
② LIM成形 射出成形機を使い金型に注入し、加硫(熱硬化)する
③ 洗浄・滅菌 成形された製品を洗浄し、高圧蒸気にて滅菌する
④ 検査・梱包 製品の検査を行い、梱包する

医療用シリコーンゴム製品の設計・開発はお任せください

この記事ではシリコーンゴムの特徴と、医療用シリコーンゴムの用途、LIM成形について解説しました。医療機器の小型化やモジュール化が進むなか、市場ではこれまでにない複雑で精密なシリコーンゴム製品が求められています。

藤倉コンポジットでは、強みとするLIM成形の技術力を活かし、シリコーンゴムと樹脂のインサート成形や一体成形など、お客様のニーズに合わせたASSY品の設計・開発が可能です。生産数に合わせた自動機導入など、最適な生産方法もご提案いたします。

医療用シリコーンゴム製品の設計・開発でお困りでしたら、ぜひ一度、藤倉コンポジットまでご相談ください。

医療用シリコーンゴムの関連製品

医療用ディスポーザブル製品

医療機器・医療器具に最適な医療用シリコーンゴム製品を、クリーンルームにて一括生産しています。

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