環境 -自然と社会の調和-
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自然との共生
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資源循環
一般社団法人日本ゴム工業会の削減目標は「2025年度までに2001年度比最終処分量を95%以上削減する」ですが、当社は産業廃棄物の集計を2005年度より開始したため、日本ゴム工業会の了承を得て「2025年度までに2005年度比最終処分量を95%以上削減する」を目標としています。この削減目標に対して2023年度の実績は98.7%削減となり、2005年度比では目標達成となりました。一方、毎年設定している最終処分量の目標値に対しては、年度初めに予定していた量よりも最終処分量が増加したため、目標を超えた値になりました。また自主的に設定している総廃棄物量に対する最終処分量の割合(最終処分率)も、目標1.0%以下に対して 1.01%とわずかですが未達成となりました。3R活動は継続中で、2023年度はさらに一部の使用後のゴムの分別などにより、可燃物からマテリアルリサイクルにすることができました。今後も最終処分量の削減やリサイクルの促進に継続して取り組みます。
化学物質
製造工程で使用しているゴム糊は、有機溶剤を使用してゴムを溶解していますが、最終製品では、この有機溶剤は除去されています。除去のための工程では、大気にガスとして放出されるVOC(揮発性有機化合物)の排出量を抑えるため、溶剤回収設備を活用してガスを液化し回収しています。さらに回収した有機溶剤は原料として再利用し、購入原料の削減に貢献しています。またVOC排出量の集計では、有機溶剤の使用量、在庫量、廃液としての移動量などを監視して管理しています。VOC排出量の削減目標は、「2000年度比50%以上の削減」で、2022年度の削減率は78.4%となり、目標を達成しました。2023年度には、有機溶剤を使用して生産している一部の製品が期中に生産終了となり、それに伴い有機溶剤の使用量も減少しています。その結果、2023年度もVOC排出量の削減率は引き続き目標達成となりました。
有機溶剤の回収
ISO 14001:2015の環境マネジメントシステムに基づいて環境負荷低減に取り組み、有機溶剤の回収やリサイクルにも注力しています。有機溶剤の回収設備を運用して、有機溶剤の一部を原料として再利用しています。この有機溶剤の回収設備は、蒸気による吸脱着や冷却水による熱交換などの操作があるため、特に温度管理は重要な監視ポイントになります。法令による点検や記録の保管だけでなく、日常点検や定期的な設備の整備を行い、さらに各種運転データの収集と監視を行うことで、安定した回収設備の稼働を行っています。
化学物質の管理と環境負荷物質について
2022年度以降、新たな化学物質規制として労働安全衛生法の関係政省令が改正され、ラベル表示・SDS通知・リスクアセスメント実施の対象物質が順次追加されています。今後これらに対応するため、該当物質の濃度基準値の評価や化学物質管理者の選任などに取り組んでいきます。
生物多様性
重要な社会課題である生物多様性保全への直接的な取り組みとして、「鎮守の森のプロジェクト」と「海ごみゼロプロジェクト」に参加しています。また生産活動においても、生物多様性に配慮した持続可能な対応を実施しています。
原材料の調達、大気へのVOC排出量の低減、水の保全、廃棄物の分別とリサイクルなど、サプライチェーン全体において生物多様性の保全に関連した取り組みを進めています。特に生産活動での取り組み事例として、梱包材による負荷低減があります。梱包材であるポリエチレン製袋の一部を植物由来の原料にすることで生物多様性保全に貢献しています。今後も、森林と海の環境保全や環境負荷の低減に向けて取り組み、生物多様性の保全活動を推進していきます。
取水と排水
国内工場で使用している水の種類は上水と地下水です。上水は、工場で生活用途と生産工程の両方で使用しており、その使用量を定期的に管理することで、異常箇所の早期発見に対応でき、無駄な水使用を防止することができます。また、地下水は、各生産拠点地域において重要な資源であるとの認識の下、取水量の削減につながる活動として、製造工程での冷却後の水は循環水として工場内で再利用しています。ただし、そのままでは水温が上昇するため、クーリングタワーで冷却して使用しています。さらに特定の生産設備にはチラー設備があり、冷却されたチラー水の補給や排水のないクローズドな冷却水の循環ラインとして生産設備で運用しています。排水側では、下水排水の分析を定期的に実施しています。採取した排水を外部業者が分析し、pH、COD、BOD、 SS、窒素およびリン含有量などの分析結果を計量証明書として受け取っています。その他の製造工程から出る廃液は容器に入れ、産業廃棄物として廃液処理のできる外部業者に処理を依頼しています。2023年度には、CDP質問書に気候変動とともに水リスクについても回答しました。スコアはつきませんでしたが、今後は環境への取り組みのレベルアップを図ることで、 CDPの回答内容も充実させていきたいと考えています。
環境コミュニケーション
2023年3月に当社岩槻工場において「環境コミュニケーション」を開催しました。この「環境コミュニケーション」では、当社が取り扱っている化学物質などに関する情報、岩槻工場の事業内容、また環境への取り組み状況を工場内の見学と合わせて説明しました。環境への取り組みとしては、VOC(揮発性有機化合物)排出量やCO2排出量の推移、産業廃棄物の分別や最終処分量の削減状況、具体的な省エネの活動について示し、それぞれの目標に対する達成状況も説明しました。さらに法令に基づく各種測定値では規制基準を順守していることも説明し、環境負荷低減や地域の環境保全の活動状況を確認していただきました。最後に意見交換も行い、当社の環境に対する取り組みを近隣の方々により深く理解していただくことができました。今後も「環境コミュニケーション」を、工場の環境への取り組みを説明する機会として位置づけ、情報開示を行っていきます。