サステナビリティ統括室長メッセージ

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統括室長メッセージ

現場参加型の
サステナビリティ推進体制へ進化

現場責任者をサステナビリティ統括室の兼務メンバーとし、取り組みを組織的に推進

サステナビリティ統括室長
阪間 寛

開示基盤の構築から「戦略の立案と実行」という新たなフェーズへ

 2023年にサステナビリティ統括室が発足して以来、当社はまずは非財務情報開示の基盤づくりに注力してきました。GHG(温室効果ガス)排出量の正確な把握やTCFD開示、有価証券報告書での非財務情報開示に加え、CDPやEcoVadisといった外部評価機関からの要請に応えるため、社内の各部門に散らばっていた情報の一元収集と開示までの業務プロセスを整備してきました。
 その開示基盤がある程度整いつつある現在、私たちは開示中心から、より中長期的な視点での「戦略の立案と実行」という新たなフェーズへと踏み出しています。特に、現在進行中の第7次中期経営計画において、サステナビリティ推進が経営の「5本目の柱」として明確に位置づけられたことで、これまで以上に経営上の優先度が明確になりました。

全部門を巻き込む体制拡充と、マテリアリティの「自分ごと」化

 新たなフェーズを迎えるにあたり、サステナビリティ統括室の体制を大幅に拡充しました。発足当初は経営企画、人事、経理などのリーダーを中心とした数名体制の事務局でしたが、推進力を飛躍的に高めるため、組織を社長直轄へと変更しました。
 さらに2026年度からは、各事業部長や国内外の拠点長、海外工場の責任者、および各間接部門のリーダーを、サステナビリティ統括室の兼務メンバーに加えました。併せて、これまで個別に機能していたリスクマネジメント委員会や中央省エネ・環境管理委員会の機能も当統括室内に統合しました。これにより、事業や拠点のトップという当事者全員が同じテーブルにつき、サステナビリティ課題と事業課題を直接議論し、即座に実行に向けた方向性を打ち出せる体制にしました。
 この体制整備の最大の狙いは、2024年に特定したマテリアリティに対して、事業部や現場の一人ひとりが「自分ごと」として捉えられる仕組みを創り上げることです。今後は全社方針をベースにしつつも、各事業部の実態に即したより具体的なマテリアリティへと細分化し、事業計画に落とし込んでいきます。
 事業活動による財務価値の追求と環境対応などの非財務の取り組みは、短期的に見ればトレードオフの関係に見えがちですが、中長期的な視点で見れば両者は必ずトレードオンすると考えています。目先ではなく、10年、20年先のあるべき姿を見据え、バックキャスティングの思考で事業の利益創出とサステナビリティ目標の達成を両立させるための戦略シナリオを構築していくことが、今後の極めて重要な取り組みです。

4つのマテリアリティの深化と、中長期を見据えた定量目標の推進

 こうした強固な推進基盤のもと、4つのマテリアリティにおける取り組みも深化しています。
 第一の「製品の安心・安全・安定」は、ものづくりを体現するメーカーとしての価値の根幹です。品質保証統括部が中心となり社内外の安全を担保するだけでなく、先進技術戦略室も加わった電気自動車向けの製品開発や液体検知センサなどのイノベーション創出からの製品開発を強力に進めています。また、事業戦略と密接に結びつく知的財産の活用やDXの推進も重要な要素として位置づけています。
 第二の「環境改善で新たな価値創造を」では、2050年のカーボンニュートラル達成を見据え、2030年度までにGHG排出量を46%以上削減(2019年度比)する目標を掲げています。既にScope1からScope3までの排出量算定を国内外の拠点ごとに完了し、見える化を実現しました。CDPスコアでも気候変動B、水セキュリティBを獲得しており、今後はさらなる評価向上を目指します。算出精度の向上を図るとともに、エネルギー原単位の把握と重点削減拠点の絞り込みを進め、実際のエネルギー転換に向けた実行フェーズへと移ります。また、廃棄物に関しても現状の排出実態を精緻に把握し、単なる埋め立てからサーマルリサイクルやマテリアルリサイクルへの転換に向け、外部業者と連携した検討を本格化させています。生物多様性への取り組みについても、現在は植樹活動などから着手しており、今後さらなる展開を模索していきます。
 第三の「人と社会にやさしい組織を」では、第7次中計の「稼ぐ力の強化」の柱の一つとして人的資本への投資を位置づけています。これは単なる福利厚生ではなく、企業価値創造の起点です。一昨年度で実施した従業員エンゲージメント調査で可視化された課題解決に取り組むとともに、2026年度末までに管理職に占める女性比率10%、男性社員の育児休業取得率40%、障がい者雇用率2.5%以上などの定量目標を掲げています。また、取締役向け信託型株式報酬制度の導入や従業員向けESOP信託の継続実施により、中長期的な業績向上への意識を高めています。バリューチェーン全体では、資材部門と連携してサプライヤーへのエンゲージメント調査を開始しました。今後は実態に寄り添ったヒアリングや底上げのための支援活動を展開するとともに、サプライヤーの負担軽減に向けた調査項目の共通化など、コミュニケーションを深めながら持続可能なサプライチェーンの構築を目指します。
 第四の「コーポレート・ガバナンス強化を」においては、取締役会の監督機能強化と意思決定の迅速化を図るため、第6次中計期間中に監査等委員会設置会社へ移行し、任意の指名報酬諮問委員会を設置しました。企業のガバナンス向上を目的とした取締役会実効性評価も実施しています。さらに、近年特に強化が求められる情報セキュリティリスクについては情報統合室と連携し、BCP(事業継続計画)への展開など、統合した機能を通じて幅広いリスクへの対応力を高めています。

現場との対話を通じ、「全員参加のサステナビリティ経営」を実現する

 これらの活動を全社で確実に推進するには、現場の理解と協力が不可欠です。私自身が月例会やタウンホールミーティングなどを通じて各拠点へ直接足を運び、「何のためにこの取り組みが必要なのか」を現場の言葉に噛み砕いて伝え、対話を重ねていきます。対話では、社員一人ひとりの「心の豊かさ」がサステナビリティにつながるという思いを発信し続けていきます。
 その他、非財務事項の「定量化(数値化)」を強力に進めていきます。サステナビリティ基準委員会(SSBJ)など国内外の開示要請が高まる中、従来は定性表現に終始していた各種課題を定量化させることで、「これをやらなかった場合、これをやった場合でどれほどの財務的影響や損害が生じるか、利益が得られるか」といったリスクと機会の金額換算化を行い、経営の解像度を高めていきます。
 投資家の皆様におかれましては、当社のこのサステナビリティ推進が未来への投資とご認識いただきたいと考えています。そのうえで今後も定期的に状況を発信させていただきます。引き続き、当事者全員参加のサステナビリティ経営を力強く牽引してまいります。